昔はボールの種類も少なく、年間で発売されるボールは各社合わせても覚えられるくらいでした。トーナメントでは、使われるボールは同じものが多く、どのボールが自分のものか分からないくらいでした。そのため、ボールの違いを出す方法は、開け方や表面処理くらいしかありませんでした。
しかし、現在は各社が個性豊かなボールを次々に発売し、どれを選ぶか、どのボールを投げるかも楽しみであり、同時に悩みどころでもあります。選べる時代になってからも、欲しいボールは常にたくさんあります。
その中で思い出に残っているのが900グローバルの「Dream on」でした。
DREAM ON
ドリーム・オン
曲がりや強い動きといった部分的な個性ではなく、レーン上での柔らかい動きに心奪われました。それなのに、オイルを感じつつも滑ってしまうことはありませんでした。
気に入ったボールはずっとバッグに入れておきたいので、探しに探してやっと2個目を手に入れたという思い出があります。
今回は改めて900グローバルの魅力を、いろいろな方々を通してご紹介したいと思います。
取り扱いはアメリカンボウリングサービス
現在の取り扱い代理店は、お馴染みのABSです。
ABSと言ったら過去にもいくつかのお気に入りボールを紹介させていただきました
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900グローバルの始まり
まずは900グローバルという会社の歴史をお伝えしたいと思います。
2007年にTrackの元社長フィル氏とC300の副社長ニック氏が発足させた会社で、当初の名前は300グローバルだったようです(笑)が翌年には現在の900グローバルに変更になったようです。
設立当初は日本には代理店はなく、翌年の2008年にAMF(ダイフク)さんが代理店となったと記憶しています。
ABSは2014年に900グローバル(Global Manufacturing LLC)と総代理店契約を締結しました。
一番初めにリリースしたボールはコチラです。
DREAM
ドリーム
同年9月に開催されたMKチャリティカップ
吉田真由美プロ
『DREAM』を使用して優勝
初の取り扱いがDREAMとは夢がありますね。
翌年2015年にはChris Barnesが900グローバルに電撃移籍をした直後のDHCの大会で『RESPECT』を使用。
10,000,000円(優勝500万+TVパーフェクト500万)をGET。
クリス様の活躍はコチラ
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工場について
一時の製造は、ユタ工場とサンアントニオ工場(コロンビア300が使用していたマシン)を併用し、サンアントニオ工場では2ピース製法のバジャー系は高反発ボールとして強いピンアクションのイメージが今でも残っています。
2020年12月のZENからは、Storm・Rotoと同じ工場(ユタ)ですべて生産を行っています。ユタの初めての生産は「ハニーバジャー・エクストリーム」です。
900グローバルの特徴
主観ですが、レーンを3分割して各々の強いところを分けた場合、Stormはバックエンド、Rotoはフロントエリア、900グローバルはミッドエリアのように感じます。
コントロール性能が高い
様々なコンディションで合わせやすい
ボウラータイプにもイメージが取りやすい
パフォーマンスが読みやすい
容易にアジャスト出来る
物足りないと言われればそれまでですが安定したスコアを打つにはもってこいのSPECだと思います。
開発について
900グローバルは、以下の4つのシリーズで開発されています。
- 600シリーズ
- 一番安い価格帯でコスパが良く、今では重宝される(36000円/2025年2月現在)商品です。
- ※600シリーズは現在廃盤とのことです。
- 700シリーズ
- こちらもコスパの良い商品で人気のシリーズです。
- 800シリーズ
- 強い対称コアを搭載しており、2種類あります。
- 900シリーズ
- 最上位クラスで強い非対称コアを搭載しており、今までで5種類リリースしております。
それぞれのシリーズの特徴を紹介をさせていただきます。
600シリーズの代表作
バーナー
対称コアでBurnerが発売されています。
↑
画像タップでバーナーシリーズのページに飛びます。
バーナーシリーズはCentroid Symmetricコアを使用して、全て同じS62というカバーを使用してカバータイプを変更して3種類発売しています。
ソリッド
フロントエリアが安定します。
ハイブリッド
ソリッドとパールの中間。
パール
バックエンドの動きに特化。
と分類されており、ボウラータイプやコンディションに合わせて選択が可能なところが魅力のひとつです。
適応コンディションはミディアム以下でオイルがライトコンディション・ハウスコンディション・手前が薄くなった時に活躍するボールです。
700シリーズの代表作
ハニーバジャー
まず一つ目は、やや弱めの非対称コアを使用しています。
これは日本でもかなりの人気で3世代に分かれております。
第1世代
2017年9月に発売しており、初代Honey Badger含め全4作を発売。2ピース構造で反発係数が高く、強いピンアクションが最大の魅力でした。
左から
HONEY BADGER
ハニー・バジャー
HONEY BADGER TEAL
ハニーバジャー・ティール
HONEY BADGER BLACK PEARL
ハニーバジャー・ブラックパール
HONEY BADGER DP
ハニーバジャー・ディーピー
第2世代
2020年12月に発売しており、Honey Badger Extremeからで全6作を発売しました。
生産工場をユタへ完全移管し、3ピース構造に変更し、コアの数値もかなりバージョンアップされました。
上段左から
HONEY BADGER EXTREME
ハニーバジャー・エクストリーム
HONEY BADGER INTENSITY
ハニーバジャー・インテンシティ
HONEY BADGER EXTREME 2022
ハニーバジャー・エクストリーム2022
下段左から
HONEY BADGER EXTREME BLOW
ハニーバジャー・エクストリーム ブロー
HONEY BADGER EXTREME TOUR EDITION
ハニーバジャー・エクストリーム ツアーエディション
HONEY BADGER EXTREME 2024
ハニーバジャー・エクストリーム 2024
第3世代
2024年12月に発売したHoney Badger RuddyとRenewalの2種類です。
人気のシリーズもさらに変化を遂げ、AIコアテクノロジーを搭載しました。さらにコアが強くなり、現代のオイルコンディションに適応する為に全体的なポテンシャルを上げる事に成功しました。
左
HONEY BADGER RUDDY
ハニーバジャー・ラディー
右
HONEY BADGER RENEWAL
ハニーバジャー・リニューアル
ウルヴァリンシリーズ
2つ目は、高慣性でΔRGの高いWolverine(2021年12月~)シリーズです。
ハニーバジャー同様に高慣性、高フレアポテンシャルですが、弱めのカバーストックを搭載している為、曲がり出しが遅く、また少ない為、走りに特化したモデルです。
左から
WOLVERINE
ウルヴァリン
WOLVERINE MUTANT
ウルヴァリン・ミュータント
WOLVERINE STRIKE
ウルヴァリン・ストライク
WOLVERINE DARK MOSS
ウルヴァリン・ダークモス
800シリーズの代表作
ゼンシリーズ
1つ目はZENシリーズ(2020年12月~)です。
↑
画像タップでZENシリーズのページに飛びます。
非常に人気のあるシリーズで3世代に分かれており、ウレタンを含め11作もリリースしています。
体積の大きいコア(強い対称コア)が最大の特徴となっており、ミッドレーンの強いトラクションに継続性の高い軌道が得られることで有名です。
ベンチマークボールとしても使用するボウラーも多いようです。
また発売当初はPBAツアーでバッグの中に入っている選手が多く、人気が急上昇した記憶があります。
サブライムシリーズ
2つ目はSublimeシリーズ(2023年11月~)です。
こちらも強い対称コアを搭載しており、ZENと比べてバックエンドが強化されおり、スキッドは少し感じるものの対称コアにしてはメリハリを感じる商品になっています。
900シリーズの代表作
リアリティシリーズ
1つ目はReality(2021年2月~)です。
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画像タップでRealityシリーズのページに飛びます。
こちらもZEN同様に非常に人気のあるシリーズで9作をリリースしております。
シンプルなコア形状ですが、非対称数値も高く、ミッドレーンで強い動きを見せてくれます。ピンHITしてからも緩めることなく曲がり続けるのが良いピンアクションに繋がっていると思います。
エタニティシリーズ
2つ目は、Eternity(2023年2月~)です。
Realityの後継モデルとしてリリースされた為、コア形状は違うものの、コア数値は非常に近いところを狙って開発された商品です。Realityよりスキッドは感じるものの、バックエンドでは暴れずに非常におさまりが良いので、ラインを大きく取らずに扱いやすいボールとして重宝されています。
オリジンシリーズ
3つ目は、Origin(2024年12月~)です。
まったく違うコンセプトで開発されており、走りとバックエンドのメリハリのある動きが特徴になっています。1作目はパールでリリースされましたが、今夏までにソリッドタイプをリリースする予定です。
クルーズシリーズ
カタログボールは3種類ですが、ABSが900Globalと共同開発して制作したOEMが2種類あります。
1つ目は、Cruise(2021年4月~)で今までで7作リリースしております。
↑
画像タップでCruiseシリーズのページに飛びます。
900Globalで一番強いカバーストックS86やRB90Xを搭載し、コアもMB数値が最も高いものを積んでいます。常にキャッチしながら軸移動をしているイメージで安定した軌道が得られます。
レブマトリックスシリーズ
2つ目は、2025年2月にリリースしたRevMatriXです。
ダリアパヨンクの完全監修モデルで、ABSとの最新コラボレーションボールです。
日本をよく知るダリアがこだわって創った日本のボウラー好みのパフォーマンスに仕上がっております。
900グローバルでは珍しいフリップブロックが採用されており、900Global製品にはない、軽快な走りとバックエンドの動きが最大の特徴です。
最後におさらいです
600 Series/弱い対称コア/高コスパ/
ミディアム以下、ハウスコンディション、ブレイクダウンした時に最適。
700 Series/弱い非対称コア/高コスパ/
走り・曲がりのバランスが良く幅広いコンディションで活躍。
800 Series/強い対称コア/
ベンチマークボールとして最適で、対称コア特有の継続性の高い曲がりが特徴。
900 Series/強い非対称コア/
ミッドレーンをしっかりと読むことが出来、予測しやすい安定した軌道に強いピンアクション。
4つのモデルはそれぞれ開発コンセプトが明確で個性が際立っています。ユーザーにとっては、無限の選択肢となる可能性が高いと思います。
また、3世代にわたって継続している商品は、時代のニーズに合わせてカスタマイズされており、メンテナンスマシンやオイルの進化に対応できるよう、着実にバージョンアップを重ねています。
さらに、ABSの契約選手ではありませんが、当社のボールをよく使用し活躍している坂本かやプロも、900グローバル製品を愛用していますので、ここでご紹介させていただきます。
坂本かやプロ(JPBA No.544/永山コパボウル)のコメント
「どのボールもパターンの読みやすい曲がりが好みで、以下3つは特に重宝しています」
REALITY CHECK
リアリティ・チェック
気に入っている理由
表面を粗めに加工してオイルの多いスタートで使用することが多いですが、嫌な暴れ方は全くせず、ピンに当たった後も左に進むような動き方が好きです。
ZEN GOLD LABEL
ゼン・ゴールドラベル
気に入っている理由
試合の後半戦で使うことが多いです。初代のゼンも好きでしたが、比べると走り感があり、先まで進んでくれるので動きが読みやすく、ラインナップに必須です。
CRUISE GPT
クルーズ・ジーピーティー
気に入っている理由
オイルが多い場面では物足りなさがありますが、最近の試合の傾向で、すぐに手前のオイルを感じなくなってしまうのでそのような場面で重宝します。
他のボールでは強くて先がぼやけてしまう、弱くてピンアクションが出ない、といった状況で、このボールだとスムーズに進んでパワーロスはせずに届き、ピン当たりも強くて長い時間使えるという点がとても好みです!

の質問には以下のコメントを頂きました。
気に入っている理由
ピンに当たった後もピンに負けずに左に向かって進み続ける点が良さだと感じます。
曲がり方については、自分が止まって欲しいポイントでしっかり止まってくれるので動きも読みやすく、その後も終わらずにピンに届いてくれます。他メーカーでは使える場面が限られてしまうボールもありますが、900グローバルのボールはどんなレーンや場面にも対応できると感じています。
また、高回転の方にもスピードタイプの方にも扱いやすく感じると思うのですどんなボウラーさんにもオススメできます!
絶賛していただき、今後プレッシャーを感じますが、本音でご意見をいただき、ありがとうございました。
続いてABS契約プロボウラーのお二人です。
900グローバル男子キャプテン プロボウラー和田秀和さん
900グローバルのおすすめポイント
900グローバルの長所は、カバーやコアのバランスが絶妙に良く感じます。曲がる力が低いボールを選んだとしてもピンへの当たりの強さは消えず安心したパフォーマンスが魅力です。
まだ投げた事のない皆様、どのスペックでも高いパフォーマンスが期待出来ると思います。
購入した事ない方は是非思い切って購入してみて下さい!
特にオススメ
私個人が好きなシリーズ
900グローバル女子キャプテン プロボウラー名和秋さん
900グローバルのおすすめポイント
グローバル900の良いところは、シリーズの種類も豊富で各々の動きやパフォーマンスも全く違うので色んなタイプのボウラーさんに楽しんでもらえると思います。また常に進化をしていて、その時の流行りや変化も捉えているので、いつも新作を投げる時は楽しみにしています!
まだ投げまたことのないボウラーさんへ
よくいろんなお客様とお話をさせていただいていて、900グローバルどうですか?と聞いていただくことが多いですが自信を持っておすすめできます。
曲がりが多いボウラーさんにも少ないボウラーさんにも選択していただける種類はたくさんありますし、ピンアクションに関しても信用しているシリーズはたくさんあります。
ぜひ、挑戦して投球していただきたいです。
これからもプロ・アマ問わず、多くのボウラーの皆様に気に入っていただける製品づくりをメーカーとともに進めてまいります。
まだ投球したことがない方は、ぜひ900Globalを一度お試しください!
By ごっちん
ドリラーカズヨシが見る900グローバル
次はドリラー目線で900グローバルってどうなの?を聞いてみました。

ABSが取り扱う前、900グローバルのボールとの出会いは「THE EAGLE」でした。正直「どこのボール?」という印象でしたが、当時はAMFさんが取り扱っていたと思います。ただ、あまり取引がなかったメーカーだったので、お客様が持ち込んだボールをドリルすることがほとんどでした。
それから時が経ち、ABSさんが取り扱うようになってから、急に使用者が増えた印象があります。
初めて見たのはこれだった気がします。

個人的に初めて使用したのはリスペクトでしたが、とにかくポケットにコントロールしやすいという印象でした。これこそが900グローバルの最大のおすすめポイントだと思います。
走る系、キャッチ系、万能系、ライトオイル用、ヘビーオイル用など、さまざまなシリーズがあり、コアやカバーの種類も豊富ですが、どのシリーズも「コントロールしやすい」という枠からはみ出さず、制御不能になることがありません。
そのため、レーンコンディションにも合わせやすく、変化も感じやすいし、アジャストもしやすいと思います。
クリスバーンズアカデミー
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ババンババンバンバン世界一の男に役立つことをいっぱい教わったぜー
N: 森彩奈江さんが居るとは思いませんでしたが参加されてみていかがでしたか? 彩: ボールの選択の仕方やラインナップなどいつも悩んでしまう事なんですが、具体的に話を聞けましたし、すぐに使えそうな知識を ...
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900グローバルのボールは、まさにその安定感をサポートしてくれるボールメーカーだと思います。
EON
イオン

松Pがオリジン投げてみました
ドリームオンの出会いからドリームビッグパール、ゼン、オルタードリアリティ、サブライムを投げましたが、ドリームオンで感じたレーン上での柔らかい動きはどのボールにも共通していました。投球の質力を変えずに転がるボールが欲しい時は選択肢の中に900グローバルが入ります。
サブライムから久々の900グローバルを投げてみようとネーミングも気になっていたオリジンを投げてみました。
女性、ストローカー、回転数、スピード少なめ、酢豚好きめです。
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投げた感想
オイルを感じると滑ってしまったり外に流されてしまいますが転がります。曲がりが少ないわけではありませんが急激に向きを変えたりピン前の動きを予想してライン取りする必要もありませんでした。アジャストに忠実に動くボールで走りながら転がって余計な曲がりはしない印象でした。思ったよりも手前が行くので大会などでは中間に使えると思います。走り重視、曲がり重視、ではなくレーン上で一番長く使うところが安定しています。
まとめ
どのボールにもコンセプトがあり、いろんなオイルパターンやオイル変化の状況で使えるボール、ボウラーのタイプに合ったボールが開発されています。
みんなが使っているから
新製品を勧められると買ってしまう
こんな時に投げるボールがない
同じボールが多い
このメーカーしか投げない
という皆様も次のボール選びの候補に900グローバルを加えてみてください。

呼び出しといてマジかよ。
Byカズヨシ