すっかり年を取ってしまった「赤パルス婆さん」と「初代カンタム爺さん」の会話です
- ※赤パルスと初代カンタム
- 20年くらい前に発売された大人気ボールで、プロアマ問わず多くのボウラーが使用していた
ワシは若かったあの頃のようにギュンギュン曲がりたいんじゃ・・・
そしてもう一度、爆発するようなピンアクションを出したいんじゃよ・・・
現在主流のリアクティブウレタン系のボールは、使用するにあたりオイルを吸い込んでしまい曲がり、ピンアクション共に少しづつ弱くなってしまいます
簡単に言ったら
老化
です
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そもそも、なぜボールは老化してしまうんだ?
ボールの老化(劣化)してしまう理由を聞くために、ボールメーカーに問い合わせてみました
そしたら、意外な答えが!
そのあたりの事なら〇〇さんが詳しいと思うので聞いてみたらどうですか?
早速電話してみました
PRRR
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電話させて頂いたのが、ボウリングマガジンでも新製品の記事を書いていたり、数々のドリル理論やボールレイアウトを世に伝えてきたドリルの第一人者であり、探究心を忘れないボウリング博士
サンブリッジの日坂語録でおなじみ
N:
突然ですがボールについて質問したいんですが・・・
日:
いいですよ
私にわかることならお答えします
N:
買ったばかりのボールは、良く曲がり、ピンアクションも良いのですが、オイルを吸って弱くなるという話はよく聞かれるんですが、何でオイル吸っちゃうんですか?
日:
ボール表面を電子顕微鏡レベルまで拡大してみますと、表面はデコボコした泡の塊のような形状をしています
この泡は高分子化合物と言うもので泡の大きさや、摩擦力を調整している添加剤でできています
この泡のような複雑な形状の隙間に、汚れやオイルが溜まっていきます
それを、オイルを吸うと言っています
ゲーム数を重ねていくと本来の性能が発揮できなくなるわけです
N:
なんとなく、オイルを吸い込むと聞くと、ボールの奥深くまで吸い込んで行ってしまうイメージがあるのですが実際はどうなんでしょうか?
日:
その泡の隙間に汚れや、オイルが入り込んで許容範囲を超えてしまえば、それ以上吸い込むことはありません
N:
吸い込むというより目詰まりしている感覚のが近いですね
では、その性能を回復させるための方法として、ボールに熱を加え、オイルを吐き出させる方法がありますが、どう思われますか?
日:
熱を加えて、オイルを吐き出させる方法は、かなり昔からある方法です
確かに、泡の隙間に入り込んでしまった汚れやオイルを、吐き出させる方法としては有効ですが、同時にボール表面を形成している可塑剤(かそざい)と呼ばれる添加物が熱に弱く、オイルと一緒に溶けて出てしまうため、ボール自体がモロくなってしまうデメリットもあります
熱を加えるオイル抜きに対して賛否両論あるのはこれが理由です
N:
最近イオン水を使用したオイル抜きが注目されていますが、熱処理と比べてどんな違いがありますか?
日:
イオン水を使ったオイル抜きは、泡の中の細かな隙間まで入り込み汚れやオイルをイオンで分解するというものです
私のショップではどちらも使用していますが、ボウラーに感想を聞いてみると、多少可塑剤が溶け出て、もろくなってしまうリスクはあるけども、熱処理をしたオイル抜きの方がリアクションの違いを感じられるようです
安全に汚れやオイルをを取り除くという意味ではイオン水をお勧めしたいと思います
N:
添加剤が流れ出て多少のリスクはあるけど、
はっきりしたリアクションの違いを感じたいなら
熱処理
リスク負わずに、オイル抜きしたい人は
イオン水
日:
もう一つ紹介したいのがあります
RA値と言うのがあります
簡単に言いますと、先ほどの電子顕微鏡レベルで見た泡の頂上と谷になった部分の差の事です
繰り返し、投球されることで泡の頂点が削られて平らになってきます
これも、リアクションが悪くなる原因のひとつです
N:
それを回復させる方法はありませんか?
日:
アブラロンパッドでボール表面を削ると、新しい泡の層が現れますので、オイル抜きと合わせてもうひと手間かけてみるといいでしょう
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N:
ちょっと緊張しましたが相談してよかったです
「赤パルス婆さん」と「初代カンタム爺さん」も喜ぶと思います
貴重なお話をありがとうございました
日:
・・・?
熱処理オイル抜きマシン紹介
ボウリング場にオイル抜き専用機械があります
自分の行くボウリング場のプロショップに確認してみましょう
このどっからどう見てもオーブンレンジのようなのがオイル抜きマシン
お弁当は温められません
では、さっそく取り掛かりましょう
ナゲルマンがいいない場合はボウリング場のスタッフにお願いしましょう
ここからはスタッフのお仕事です
扉を開けボール設置台を引き出します
そして
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ボールをセットします
タイマーを15分に合わせ
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スタート!
あとは待つだけ・・・
では機械の中ではどうなっているのか?
機械側面にあるヒーターが温められます
と、同時にボール設置台がゆっくり回転を始めボール全体が温められます
表面温度は60℃位になります
温めることで、表面素材に吸い込んでしまったオイルを吐き出させます
長年使用されたボールなどはにじみ出たオイルがダラダラと流れ落ちます
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チ~~~~ン!
作業が終わったら温かいうちにスタッフさんがボールクリーナーでオイルを除去してくれます
ジャジャ~ン
見た目に変わりがありませんが
ボール表面のヌメリが取れてギュギュッとした手触りになってます
注意
オイル抜きが終わったばかりのボールは温かいです
熱により若干膨張しているため、フィンガーグリップ・サムソリッドなどのザイズがきつく感じる場合があります
完全に冷めるまで投げるのはやめましょう(2~3時間程度)
早く投げたいからといって、水につけるなどして急激に冷やすとボールが割れることがありますので、自然にゆっくり冷めるのを待ちましょう
近隣のボウリング場にオイル抜きマシンが無い場合は・・・
自分でやる!
専用マシンのようにオイルは抜けませんが、家庭でできる簡単な方法です
①ビニール袋にボールを入れ袋の中の空気を抜きます
②50~60℃のお湯をシャワーでボールにかける
③終わったら、袋から取り出しボールクリーナーで拭きあげる
火傷には十分に注意して下さい
イオン水オイル抜きマシン紹介
熱処理に比べボールにやさしいのが売りです
まだ導入しているボウリング場は少ないようですが、見つけたら試してみましょう
その名も
イオンパワー オイルリムーバー
専用のイオン水にボールを20分浸すだけ
作業終了後、すぐに使えるところも嬉しいね
稼働中の何が起こるわけではないのでは見た目は地味
熱をかけないので、作業終了すぐに効果を試すことができるのは嬉しいね
実はいい歳し二人は、この後どうなるのか・・・