前回日坂教授にはボウリングボールの表面素材についてのお話しを頂きました
ボールの曲がりに大きな影響を与えているのはボールとレーンの摩擦が何よりも大切と言ってましたね
途中でお客さん来たので待たせていただくことに
個人ショップなれど豊富な品ぞろえ
小物達も充実してるぞ
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ボウリング場をウロウロしていると
お腹すいてそうな店員さん発見
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- プロボウラーの相澤英昭さん
- スポルト八景ボウル
- N:
- こんちゃーっす
- 相澤さんじゃないですかー
- お元気ですか?
- 相:
- NAGEYO見てますよ~
- N:
- 前から気になってたんすけどその髪型どうなってんすか?
- 相:
- これはですね~
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- ボール曲げるにはやっぱり△□☆○
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- カレーのおいしい店はこの辺だと○○
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てな話をしていると
教授の仕事も仕上げの段階に突入の模様
ひとまず講義している部屋へ戻りましょう
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教授が戻って来るので講義を再開しますよー
先ほどまで話していたボール表面の影響力の話はご理解いただけましたか?
次にお話しするのは表面素材の次に影響しているコアの話です
昔のボールは穴をあけることでボール上部の重さが削られボール下部の比重が重く(ボトムウェイト)なってしまうとピンに当たった時にボールがそれるという現象が起こりました
それを防ぐためにボール上部にウェイトブロックを埋め込んでボトムウェイトにならないようにしていました
その頃は単純に指穴減量分を見越してウェイトを入れることが目的でした
しかし30年ほど前からコアの慣性モーメントが注目されるようになりボールの比重を中心近くに置いた低慣性のボール(センターヘビー)や、逆に中心よりも離れた所の比重を高くした高慣性のボール(カバーヘビー)が作られるようになりました
低慣性ボールは手前から転がりやすいのが特徴
へビーオイルやロングオイルコンディションなどで滑りやすい時に使用すると良いでしょう
高慣性ボールは転がりにくく曲がりが奥になるのが特徴
ピン前での曲りが欲しい時や少し走らせたい時に使用すると良いでしょう
しかし低慣性のボールは手前から回転しやすいですが同時に曲がりが早めに出てしまいピン前で思うような曲りが出ないこともありますので注意が必要です
この慣性を数値化したものがカタログに表記されています
コアの慣性モーメントをRG(アールジー)と呼ばれる数値で表記されています
RGはほとんどのカタログに記載されています
ルールで2.460~2.800の範囲内と決められていますが実際に作られているボールは2.480~2.600位までのボールが多いです
かと言って低慣性のボールが一番曲がるかというとそうでは無いんです
手前から曲がり出そうとする力が働くためエネルギーを失うのも早いです
よってピン前で鋭く曲がる動きにはなりにくいです
どちらかというと手前から緩やかに曲がって行く傾向にあります
そしてボウリングボール選び基礎知識講座vo1でお話ししたように表面素材との組み合わせとボウラーの球質や速度、回転数の差が顕著に表れます
さらにレーンコンディションによっても曲がりの大きさは変わってきます
- N:
- という事はどんなコンディションで投げたいボールなのかがわかっていなければ
- 低慣性が良いのか?高慣性が良いのか?も決められませんね
次に説明が必要なのがカタログに表記されているのもう一つの数値
⊿RG(デルタアールジー)
この数値はコアの縦と横の差を表しています
この差を⊿RG値と呼んでいて差が大きいほどコアは細長くなり、小さいほど丸みのあるコアとなります
また細長いコアほど回転軸に対してのグラつきを与える力が強くなるため半回転するごとにローリングトラックがずれて行きます
帰ってきたボールをよく見るとしましまに付いたオイルがコアのグラつきの跡でトラックフレアと呼ばれています
⊿RGは別名トラックフレアポテンシャルとも呼ばれています
ではこのトラックフレアが出るとどうなるのか?
コアのグラつきによりトラックフレアが出ることでオイルの付着していない新しい面を常にレーンと接することができるためフレアしないボールよりも大きな摩擦力を得られる効果があります
数値が大きいほどトラックフレアは大きく出るため強い曲がりが出やすくなり
数値の小さいボールはグラつきが小さいため緩やかな曲がりとなります
こちらもルールがあり最大値0.060までとされている
カタログには⊿RG・RG差異・フレアポテンシャルと記されています
つまりコアの形状も摩擦力を得るためにデザインされていると言って良いでしょう
質問です!
- N:
- 「転がる」は「転がる」だよ
- 「転がらない」と曲がりが不安定になっちゃうじゃん
- ナゲル:
- でもかずちゃんさ~
- どのボールも「転がってる」わけでしょ?
- イマイチ「転がる」ボールと転がりにくいボールの見分けができなんだよね
- どこを見て判断すればいいかよくわかんないし、メーカーの軌道動画観てると「転がり」とか「転がり感」て言葉が出てくるけどよくわからないんだよねー
- N:
- 確かに「転がり感」が良いって表現良く使うよね
- オイル上で滑らないって言うか、オイルの上でも「転がる」って言うか
- う~ん
- ゴロゴロしてる感じ!かな?
- ナゲル:
- え~!よくわかんないな~
- それ業界用語なの?
- N:
- てなわけで教授に聞いてみたいのですが「転がり」や「転がり感」ってどんな感じですか?
- 日:
- 「転がり感」は抽象的な表現なので定義と言うのはありません
- ただ説明するとしたらレーンを3分割して考えるとわかりやすいと思います
- まずファールラインからスパットあたりをレーンヘッドとかロフトエリア
- スパットからオイルの切れ目のレーン中間部をミッドレーン
- ピン手前の曲がりが出るところをフッキングゾーンとかバックエンドと言います
この3つのエリアでのボールの回転とグリップを表現しています
- N:
- 立ち上がる力の事でしょうか?
- 日:
- 立ち上がる力とはちょっと違います
- ファールラインから強烈に回転してグリップする人はまずいないので主にミッドレーンやバックエンドでオイルに空滑りするのではなくボールがレーンにキャッチしながら直進している状態です
では「転がり感」というワードをボールの軌道動画で多用するハイスポーツ社のMATSUYAさんにも聞いてみましょう
- N:
- 松谷さんこんにちは
- いつも動画を楽しく拝見しています
- 動画の中で松谷さんと石原さんがコメントでよく使う[転がる]・[転がり感]がありますが
- どういった動きを[転がり感]と言っているのか教えて頂けませんか?
- もしくはどういった動きを[転がる][よく転がる]と言ってるのでしょうか?
- M:
- 「転がる」 と言う言葉は基本的にボールと言うのはレーンに投球した場合スキッド・ロール・フック・と言う事が原則になります
- しかし言葉通りスキッドと言うのは当然レーン手前にオイルが塗ってあるのですから「滑る」事が発生しますよね
- 近年ボール表面カバーストックの進化で今までは滑って直進していたボールが適度なレーンとの摩擦ロールでロールしながら直進してゆく事を意味します
- 皆さんもボールを投げるとフレア(オイルの筋)が出ますでしょう
- このフレアは殆どレーンの40フィートまでの軌道がボールに付くんですよね
- と言う事は目で見ているボールは直進しているのに回転軸は少しずつズレて行きボールの直進力とレーンへの摩擦力が引き合った所がブレークポイント(曲り始め)になりますよね
- この直進している時に既にブレークポイントへ行く前によりフレアが起きている事ですね
- 長々と申し訳ありませんが若干専門用語に近いかもしれません
- N:
- リリースから回転し運動方向へ向かうボールが起き上がる過程(フレアが付く)までを言ってると言う感じでしょうか?
- 言い換えると[起き上がり感]?
- M:
- 確かに起き上り感とか起き上るスピードが速い(立上りが早い)と言う解釈の方が正解ですね
- 転がり感があると言う言葉もほぼ同様の意味ですが転がる!より少ない感じが転がり感が有るという使い方をしています
- 以上ですが質問の答えになりましたか?
- 動きと言うより動く前の動作ですね
- N:
- ありがとうございました
教授とMATSUYAさんとは似ているが若干違った解釈もお持ちのようです
例えば起き上がりを違うという教授、ボールの起き上がりを正解と言うMATSUYAさん
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一体どっちなんだ?
この際なのでプレーヤーは「転がり」・「転がり感」をどう感じているのかを聞いてみましょう
松永裕美さん
ファールラインで放たれたボールがポケットに向き始めるあたりでオイルに滑り過ぎることなくレーンキャッチしているのを見ると転がりが良いと感じます
- N:
- MATSUYA派?
阿部聖水さん
- リリースしてから投球ごとにブレが少なく均一に回転してくれるボールを転がりが良いと表現します
- 回転したり回転しなかったりするとスコアにならないので私は転がり感のあるボール大好きです
- 試合で使うボールのほとんどは低慣性です
- レーンが遅くなっても低慣性でカバーの弱いパール系などを投げるのが好きです
- N:
- 教授派?
川口富美恵さん
- オイルに滑り過ぎる感じがあんまり無くて感覚で言うと曲がり始める所で
- シャッと行かないボールをよく転がるなーと思います
- N:
- 上級者?
塩山一美さん
- オイルに流される事なくレーンをキャッチしながら直進して行くボールを転がると表現します
- 逆にオイルに滑りやすい転がらないボールはピン前での曲りが不安定になってしまいます
- もちろんレーンコンディションによって使い分けています
- N:
- 教授派?
○井信人さん
- なんで僕に聞いちゃうんすかー?
- 転がり感ってすっごく重要なんですけど結構感覚派なんで口で説明するの無理っすよー
- N:
- 最上級者?
- ~結論~
- 転がり・転がり感はその人の感覚により若干感じ方は違うようです
- 意外な展開を見せた「転がり・転がり感問題」
- 転がり・転がり感は認識の違いがあるようです
- あなたはどんな動きを指していますか?
- 新しいボールを買う時には転がり感の表現が似ている人の意見を大切にするのもアリかもね
今回の教授の話はいかがでしたか?
コアの形状や比重で慣性を変えて意図的に転がりやすい、転がりにくいボールを作っているようです
低慣性が良いのか?高慣性が良いのか?
それはボウラーの球速・回転数・回転の向き・レーンコンディションにより異なる為一概にどれが良いとは言えないそうです
自分の求めたボールと出会うためには自分の事をよく知るドリラーに相談に乗ってもらうことが近道です
表面素材の性質とコアの特性を見極めた良いドリラーに出会う事は皆さんのボウリング人生に大きく影響するとの事です
医療の世界にセカンドオピニオンという言葉があります
患者が検査や治療を受けるに当たって主治医以外の医師に意見を求めることだそうです
ボウリングの世界で言えばメインのドリラーにすべてを任せるという従来のドリラーとの関係を脱して、複数の専門家の意見を聞くことで、より適したボール選びをボウラー自身が選択していくべきと言う考え方と言ったところでしょうか
奥が深いぜボウリング