2014年の男子新人戦は藤井信人さんが見事に優勝しました
この大会で2位だった前田充彦さん。
思い返す事1年数ヶ月、去年のプロボウラー資格取得テスト実技試験最終日、田町ハイレーンにて小柄なのにビッシビシ投げてるサウスポーの受験生、しかしなんだか様子が変・・・よくよく見ると右腕が無い?
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その時はデリケートな質問になるからと取材のお願いもできず仕舞い,機会があれば是非ともお会いしたかったプロボウラー
会場に行った方や前田さんを知っている方ならご存じだと思いますが彼は右腕が不自由です
使っているのは左腕だけ、投球は勿論ボールを持って構えることなど全て左腕
優勝は逃したものの堂々の2位ということで1年ちょっとの片思いを断ち切る為思い切って告白取材を申し込んでみたところ
- 快諾
- (・∀・)
- 前田充彦さん(まえだ みつひこ)
- 所属:ユーズボウル久留米
- 松:
- やっとお会いできました!
- プロテストの時からお話伺いたかったんです
- あの
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- ・
- どうしても腕について触れてしまうと思うんですが
- 前:
- はい、大丈夫です
- 松:
- 右腕は病気か怪我ですか?右利きだったんでしょうか?
- 前:
- 17歳の時にバイク事故の怪我で腕は付いていますが神経が切れて肩から動きません
- 右利きでした
- ※右側の腕神経叢全肩麻痺(みぎがわの、わんしんけいそうぜんがたまひ)
- 松:
- どうして利き腕を怪我してからもボウリングを続けようと思ったんですか?
- 前:
- ボウリングは怪我してから始めたんです
- 20歳くらいからかな・・・
- 松:
- えー(´゚д゚`)
- 松:
- どうしてボウリングを選んだんですか?ボール重いし利き腕じゃないし
- 前:
- スポーツが好きだったのでサッカー系か左手で出来ることって考えたらボウリングなら左でも投げられるかなぁって
- でもぜんぜん上手くいかなくて最初は50点くらいでしたよ
- 松:
- 上手くいかなかったのになぜプロボウラーを目指したんですか?
- 前:
- 身体障害者になってしまってショックだったしスポーツは諦めなきゃいけないと思いました
- 身体障害者=スポーツを諦める、という考え方になっていましたがそこを変えていける可能性に賭けてみようと思いました
- 松:
- 宮様チャリティーに参加するとか身体障害者としてボウリングをやろうと思わずにプロになりたかった理由は?
- ※宮様チャリティー:障害者福祉への理解と支援を得るために開催するボウリング大会として今年48回を迎える、障害者の部が有り来こちらは今年38回を迎える
- 前:
- 自分で自分に言い訳したくなかったんです
- 僕はけっこうメンタルが弱いのですぐに言い訳してしまうんです「自分はこうだから…」とか
- でもそれが本当にそうなのかは、やってみないとわからないと思ったんです
- 松:
- 偉いな…
- 健康であっても辛いと思う時ありますよ
- 前田さんはメンタル弱いどころか強いです
- 前:
- いやいやいや本当にメンタル弱いんです
- すぐに折れますもん
- イージーミスしたらショック受けます
- こんな簡単なスペアをミスしてって
- でもそういう時でも惜しかったね…って自分で自分を励ましてあげます
- 松:
- やっばり弱くないですよ強いですよ
- 健常者で打てなくてヘコんでしまう人いっばいいます
- 前田さんの話を聞いていると私にもまだまだ諦めないで出来ることがあると思えるし、この記事を読んだ人もきっとそう思ってくれます
- 松:
- 重いボールを片腕だけでするのに、やはりご苦労はあったと思うんです
- 不便なことはありませんでしたか?
- 前:
- 慣れたらなんでもないです
- そんなものとして^_^
- 自分にそれが出来るか出来ないか、やるかやらないかは自分で決めること
- みんながそれは無理だよと言ってもやってみないとわからないし、出来ないと思うのは自分に言い訳するからなんですよ
- 松:
- 誰でも言い訳しちゃいますよ
- それに前田さんは身体的に言い訳できちゃうじゃないですか
- 前:
- こういう言い方するといけないですが僕はただ右腕が動かないだけなんで、一部が機能しないだけでそれでいろんなことに言い訳してたらもっと厳しい状態の人には気持ちいい話じゃないと思うんです
- 自分が一番不幸だとか辛いとか思わないようにしています
- キツい時にはもっとキツいのに頑張ってる人もいると思って、自分が出来ない理由にしてしまわない
- 松:
- なんか、すみません
- 私もっと頑張ります‼︎
- 普段投げ方で気を付けてることはありますか?
- 前:
- けっこうボーっと投げてしまうので何をどうしてどうやって投げるか日によって変えますが考えて投げてます
- 今回はレーンコンディションの変化と投げ方だけに集中しようと思っていました
- 松:
- 片腕だけでボールを持って投げなくてはいけないですがバランスはどうやってとるんですか?
- 前:
- んー、できるだけ力は入れないようにしています
- それと左側に重心が逃げると戻せなくなるのでそこは気を付けています
- 右側にボールが行っても足で踏ん張れますが左側に行ったら持って行かれます
- 松:
- ボールは15ポンドですか?
- 前:
- はい15ポンドです
- 松:
- 今年の目標、これからの目標はなんですか?
- 前:
- 会場にわざわざお越し頂いて見て頂いて応援してくださる方がいっばいいらっしゃるのでその方々の為に恩返し出来るように一生懸命投げることです
- 松:
- ハンディキャップがあってもボウリングをやっている方はたくさんいらっしゃると思います
- プロボウラーの前田さんからアドバイスお願いします
- 前:
- いろんな障害の方がいると思うけど自分が何が出来るかは自分で決める権利があります
- だから諦めないで欲しいです
- やらずに諦めないで欲しい
- やってみたら以外に出来ることはいっばいあると思うんです
- 松:
- 次のトーナメントは千葉OPですが出場しますか?
- 前:
- はい!
- 松:
- この調子で千葉OPも頑張ってください
- 今日はお疲れのところ、ありがとうございました
- 前:
- ありがとうございます
- 一生懸命投げます
17歳の若さで利き腕が動かなくなったら私はこんなにも明るく生きて行けるだろうか?
ましてやったことのないボウリングを始めてプロボウラーを目指すだろうか?
前田さんと話して自分が恵まれていることに気付かされました
質問の内容にためらいもありましたが彼の明るさに救われた取材でした
自分はメンタルが弱い、自分より大変な人がいる…なかなか言えませんよね
どうしても体に目が行ってしまいますがガッツあるプレーと力強いフォームも魅力的です
是非一度、前田充彦さんのボウリングを見てくださいね
私もだけど、みんなガンバロー‼︎